機上の人 [巷の雑感・時の想い]
七夕の日には、およそ望まれないであろう、一面の鉛色
往路には、大粒の雨に遮られたこともあったというのに
大阪湾に浮かぶ孤島着けば、待っていたかのように青色が広がる
日が射せばアスファルトを焼き、陽炎が揺れる
ここは旅立ちの地、別れの日
飛び立てるということは、羽ばたく力が付いたということ
真っ直ぐに進めるということは、目標があるということ
振り返らず躊躇ない姿は、意志があるということ
願ったことに挑めるのは、シガラミの無い身軽さの証拠
展望デッキに追いやられた身に、先程まで見ていた残像がゆらめく
別離が悲しい?
心配?
自らの無力を感じる?
悔いる?
うらやましい?
力強い爆音が、頭上はるか彼方に行き去れば、静寂の中
言いようも無く湧き上がるのは、寂寥感なのか
否、いや、否と思う、否に違いない
別れ際に握った彼の手は
14年間シュートを防いできた手ではなく
もっと大きくなっていることに気付かされた
機上の人よ
失敗や挫折に恐れるより、飛び立つことを選んだ若人よ
前へ上へ、思ったように飛ぶがいい
しかし、永遠に飛び続けること叶わぬ時、いつか来るかもしれぬ
その時の為に、この大地にて佇み続けることとしよう
この親の命尽きる時まで
Ⅱ型 [カメラ機材]
先週、名古屋へ行く用事が出来まして、どうせ行くならキヤノン名古屋SSに寄って、センサークリーニングしてこようとなった次第です。特にゴミに悩まされていた、という事は無く、1D4&7D共に既に保証期間は過ぎてますから有料なのですが、まあついでに、という訳です。以前行ったのが2010年12月。1年半もクリーニングをしていなかったことになります。もちろん屋外でレンズ交換なんて躊躇なくやってきた私ですが、その割にはゴミで悩まされることも無く、子供騙しだとも言われた内臓クリーニング機能も、なかなか捨てたものではないのかも、と思ってしまいました。これが無い機種の時は、年に一度はクリーニングに出してましたからね。ちなみに私、自分の手でやる自信はまったく無く、やった経験もその予定もありません。
ついでと言えば、やっぱりそこまで行ったのならクリーニングを待つ時間に、展示してあるはずの1DXを触ってこよう、という事に。何といっても6月下旬の平日の昼間午前10時ですよ。そんな人様が忙しい時には、まず空いているに違いない、と目論んだとおり、私の他には老人の方が一人、受付のオネエサマと話し込んでいる、という状態。触り放題ですヨ。で、前回の記事になった訳で、今回はその続きです。
キヤノンデジタルハウス名古屋にはもちろんボディの他に、ショーケース内にキヤノンの名玉が並べられています。「お気軽に声をかけてください」という優しいオネエサマの声に応えて、既に私一人が独占状態なのを良いことに、まずリクエストしたのは当然、Ⅱ型になったヨンニッパです。
1DXに付けて、ドアの向こうの道路を走る車を連写(発売開始後なのに、撮影画像は持ち帰り不可とオネエサンに言われてしまいました)。やっぱり新しいものは、何もかもイイですねえ。何といってもⅡ型になったこのレンズ、軽い!。私の使っているⅠ型に比べ、これなら短時間なら手持ちも可能か、と思いましたが、そこまでは無理(私には)。サッカー撮るならやっぱり一脚使うでしょう。写真では分かりにくいと思いますが、鏡胴色が以前のベージュの混じったような白から、ちょっとグレーがかった色に変更になった点は、Ⅱ型を主張してますね。
気になったのは、レンズ根元に移された、AF・PF・MFのスイッチ。PFって何?って、オネエサンに聞いてみたのですが、ちょっと調べてみます、と言って、置くからレンズの取説を持ってきてくれました。PFとはパワーフォーカスのことで、フォーカスプリセットスイッチがOFFの状態で、フォーカスリングの前にある再生リングを回すことで、ピントを滑らかに変えることができるそうです。まあ動画撮影の際に、スムーズにアウトフォーカスにしたりする時に使うんでしょうね。
http://web.canon.jp/Camera-muse/tech/report/2011/02/
ヨンニッパのⅡ型を試したら、やっぱり次は、EF300mm F2.8 L IS Ⅱでしょう。これも軽くなって、こっちは手持ちでイケルかも、と思われました。同じようにグレーにシフトした色でしたから(その隣のEF800mm F5.6 L ISは以前と同じ色)、今後登場するキヤノン白レンズはこの色になっていくのでしょうね(まあ、オーナーでないと分からない微妙な変化ではありますが)。コレは5D3に付けて手持ちで連写してみましたが、1DXの後で秒6コマの5D3では、やっぱりその気にはなれませんでした(5D3が決して悪い訳ではないのですが)。
両レンズとも、AF速度やISの効き具合に文句の出る隙はもちろん無く(ISはしっかり効いている割に更に存在感無く、黒子に徹するようになりましたね)、描写力は背面液晶では分かりませんが、まず文句など出るはずないでしょう(MTF曲線なんて、もうこれ以上ないくらいですしネ)。ウ~ン、欲しいなあ~
(掲載写真はもちろん、オネエサマに了解を得て撮ってます)
CANON EOS 1DX [カメラ機材]
1D4をメインに使っている私が、1DXを手に取っても、さほどの違いは感じなかった。確かにグリップ部分が握りやすくなったような気もするが、それは軽微な事。ちょっと重くなったかな、とカタログ重量を確認してみると、160g程の重量増。でもまあそれも、さほどの問題は無いだろう。そしてやっぱりというか当然というか、CANON 1D系の持つ重量感と緻密な内部を感じさせる手触り、そして剛性感はこれまでどおり。プロの酷使に耐えられるというこの安心感は、1D系ユーザーの方なら分かっていただけるはず。
ご存知の通り、フルサイズ(36mm×24mm)約1810万画素となったセンサーだが、1D4と変わらない視野率100%、倍率0.76倍のファインダーを覗けば、確かにAPS-Hの1D4より前後左右に広がった事を如実に実感できる。大体が、フィルム一眼の受像をセンサーに置き換えたのがデジタル一眼だとすれば、36mm×24mmのセンサーこそが正当であり、APS-CやAPS-Hは妥協のサイズでしかなかったはず。これが本来の姿だと言われれば、まあ納得できる。
ただ、APS-Hに慣れた私の眼では、ファインダーの四隅がどうも見難い。その理由は単純で、私がメガネを掛けているからだ。メガネを掛けてファインダーを覗くという事は、接眼部と自分の眼の間にメガネレンズが存在し、それ故接眼部と自分の眼の間には、メガネを掛けていない人と比べ、1cmほどの隙間があることを意味する。メガネを掛けていない方は、試しにちょっと浮かしてファインダーを覗いて見てほしい。APS-C機やAPS-H機では、ファインダー内画像が小さかったために感じなかったが、フルサイズとなりファインダー内画像が大きくなってしまうと、四隅を見るに意識しての視線移動が必要な感じを、分かっていただけるだろうか。まあこれは、あくまでAPS-Hに慣れた私の第一印象なので、慣れれば問題無い、または利点に感じるようになるのだろう。
AFは1D4の45点から61点へと増やされたが、広くなったが故に、中央部に固まり過ぎている印象は確かにある。けれど、AF精度を保ったまま、AFフレームを更に広く分布させるのは難しいのだろう。以前CANONの技術の方と話した時に、「センサー性能に加え、大事なのはセンサーに導かれる光の純度」と聞いたことが有る。周辺部にセンサーを配置できたとしても、精度的に劣るようだと意味ないことだし、動体撮影を主とする機種なら尚更の事だと思う。ちなみにこれは想像だが、ほぼ同じAFユニットを搭載する5D3とは、アルゴリズムも含めてそれらの事を考慮すれば、1DXとの差は存在すると思われる。ただ、先にも述べたように、私の眼が未だに、四隅は無視してどうも中央部を中心としたAPS-H範囲に集中しがちなこともあってか、この配置にそれほど不便には感じなかった。もちろん、AI SERVO AFの進化度も含めて、実戦に投入してどうなのか、が重要なので、試写程度ではこれ以上の事は分からない。ただ、発表から発売延期を経て、これほど長い時間をかけて熟成されたはずなのだから、その点の完成度は高いと期待したいところだ。
背面に目を向けると、大きくなった液晶と、従来機と7Dや5D3との折衷的なボタン配置が目につく。元々背面液晶で撮った画を鑑賞することは無い私だが、現場でのピント確認はする。再生ボタンを押して画を出し、ボタンを押して拡大して、と思ったが、そうではなかった。1DXでは画の拡大は、メインダイヤルを回すようになったらしい。まあ、カスタマイズできるだろうから、これも問題ではないだろう。そのメニュー画面はかなり変わった。1D2、1D3、1D4と進化しても、基本的なメニュー階層はそれほど違和感なく触れたが、今回は取説を読まないといけないかもしれない。ただその点をメーカーも考慮したのか、メニュー画面にINFOボタンでヘルプが呼び出せる。確かに、便利&親切といえばそうなのだが、はてさて1D系を使うユーザーに必要なのかどうか。
連写速度は、1D4の秒10コマから12コマに。連写させた時には、僅かなようだが確かに差は感じられる。もちろん従来通り、任意にコマ数を設定可能だが、この差を「たかが2コマ」と思うか、「大きな進化」と思うかは撮影者次第。個人的には、被写体の動きの早さと必要カット次第で、使い分けられる幅が広がったと思いたい。しかしやはり、1D系のシャッター音は小気味よく、やる気にさせてくれる。この点では他機種は遠く及ばない。高感度については試す機会が無かった事、動画やライブビューに関しては個人的に興味が無いので、ここでは割愛させていただく。
総合的に見て、1D2から1D系を使い続けた私の眼からは、今回の1DXはかなり変わった(進化した)印象を持つ。1D4発売開始から丸2年を費やして2011年10月発表、その後発売日が延期され、半年以上も待たされてやっと2012年6月20日に市場に送り出されたのだから、完成度が高くなくては困る。1D4を全ての項目で上回って当然だと思う。ただ当初の印象どおり、1DXは1D4の正常進化、後継機であって、1Ds3の後継機ではない、とは思うが。
というのが、先日キヤノン名古屋サービスセンターに行った際、1Fのキヤノンデジタルハウス名古屋で展示してあった1DXを、小一時間も触ってみた印象です。残念ながら私、買ってませんから(予約もしていませんし)。この話の続きは、次回にて。
(ちなみに掲載画像は、許可を得て撮影しています)
全日本少年サッカー大会 [サッカーあれこれ]
先週の日曜日、全日本少年サッカー大会の当県での最終日を撮影に行ってきました。
第36回目となる全日本少年サッカー大会、小学生年代のサッカーとしては、全国大会まで有る一番大きな大会だと思います。なので、この大会にかける小学生サッカー選手たちの想いは熱く、元々保護者の影響が大きいこの年代ですから、その保護者の熱気をも巻き込んで、例年良い意味でも悪い意味でも盛り上がる大会です。当県では最終日に、予選リーグを勝ち残った8チームがトーナメントにて県代表を決めます。
ご存知の方も多いと思いますが、小学生年代の大会は、日本サッカー協会の勧める8人制サッカーが殆どになり、当然この大会もそうです。確かに8人制は、一学年11人揃わない田舎のチームにも門戸を広げ、一人あたりの試合中にボールを扱う時間を増やし、攻守の切り替えが早くなり、一対一の場面が多くなり、スキル会得の著しいこの年代に適しているのかもしれません。実際、サッカー先進国でこうした方法が根付いているため、日本もそれに習って、という訳で、撮っている私にも、そのメリットは確かに感じました。
ただ、練習試合ではなく、全国へ繋がる公式戦となると、どのチームも勝ちにこだわります。個人のスキル向上のための8人制では、裏返せばそのチームに一人か二人の有能な選手がいれば、チーム戦術など関係なく勝てることがあります。ゴールキーパーからロングボールが来て、それを上手く扱うことが出来れば、直ぐに相手ゴールに迫ることが出来ます。なので8人制での試合は、個人スキルの高い選手を擁するチームが圧倒的に優位です。そこで私、これはチームスポーツなのだろうか、とちょっと疑問に思ってしまいました。
ゴールキーパーがゴールキックを蹴ります。そのボールが誰も触らず、相手ゴールキーパーまで届いてしまいます。そのボールを受けたゴールキーパーが蹴ります。また誰も触らず、相手ゴールキーパーがキャッチします。当日そんなシーンを何度見たことでしょう。ロングボールで一発を狙えば、そんな結果になることもあります。負けているチームが何とか1点が欲しい、試合時間残り少ない時に一発逆転を狙いたい、スキルの高い選手が居ないからとにかく蹴って走る。小学生がそんな勝つため、単に点を取るためだけのサッカーをしてイイのかなあ、と。まだ以前の11人制の方が、ボールを繋いでゴールに迫るという、チームスポーツの形が見えていたのではないか、と。
もちろん、私はサッカーの指導者でもなく、その経験も無く、特別造詣が深いわけでもありませんから、的外れなことなのかもしれません。ただこの目の前の小学生達(U-12)が、あと半年ちょっとすれば、この倍の大きさのグランドで11人でサッカーをすることを考えれば、そのギャップの大きさを感じてしまいます。8人制のメリットは理解しつつも、U-11やU-10までで採用した方が良いのでは、などと思ってしまいました。
でもまあ、そんな諸々の事は置いといて、この日真剣にボールを追う小学生のこの子達は、確かに輝いていました。負ければ終わりのトーナメント戦ですから、敗戦に思わず涙を見せる子の姿を見ていると、何年か前の我が子を思い出したりして。そしてこの子達が皆、中学生になっても高校生になっても、こうした輝きを失ってほしくは無いなあ、とも思いました。何と言ってもそれこそが、私の貴重な被写体なのですから。
第36回目となる全日本少年サッカー大会、小学生年代のサッカーとしては、全国大会まで有る一番大きな大会だと思います。なので、この大会にかける小学生サッカー選手たちの想いは熱く、元々保護者の影響が大きいこの年代ですから、その保護者の熱気をも巻き込んで、例年良い意味でも悪い意味でも盛り上がる大会です。当県では最終日に、予選リーグを勝ち残った8チームがトーナメントにて県代表を決めます。
ご存知の方も多いと思いますが、小学生年代の大会は、日本サッカー協会の勧める8人制サッカーが殆どになり、当然この大会もそうです。確かに8人制は、一学年11人揃わない田舎のチームにも門戸を広げ、一人あたりの試合中にボールを扱う時間を増やし、攻守の切り替えが早くなり、一対一の場面が多くなり、スキル会得の著しいこの年代に適しているのかもしれません。実際、サッカー先進国でこうした方法が根付いているため、日本もそれに習って、という訳で、撮っている私にも、そのメリットは確かに感じました。
ただ、練習試合ではなく、全国へ繋がる公式戦となると、どのチームも勝ちにこだわります。個人のスキル向上のための8人制では、裏返せばそのチームに一人か二人の有能な選手がいれば、チーム戦術など関係なく勝てることがあります。ゴールキーパーからロングボールが来て、それを上手く扱うことが出来れば、直ぐに相手ゴールに迫ることが出来ます。なので8人制での試合は、個人スキルの高い選手を擁するチームが圧倒的に優位です。そこで私、これはチームスポーツなのだろうか、とちょっと疑問に思ってしまいました。
ゴールキーパーがゴールキックを蹴ります。そのボールが誰も触らず、相手ゴールキーパーまで届いてしまいます。そのボールを受けたゴールキーパーが蹴ります。また誰も触らず、相手ゴールキーパーがキャッチします。当日そんなシーンを何度見たことでしょう。ロングボールで一発を狙えば、そんな結果になることもあります。負けているチームが何とか1点が欲しい、試合時間残り少ない時に一発逆転を狙いたい、スキルの高い選手が居ないからとにかく蹴って走る。小学生がそんな勝つため、単に点を取るためだけのサッカーをしてイイのかなあ、と。まだ以前の11人制の方が、ボールを繋いでゴールに迫るという、チームスポーツの形が見えていたのではないか、と。
もちろん、私はサッカーの指導者でもなく、その経験も無く、特別造詣が深いわけでもありませんから、的外れなことなのかもしれません。ただこの目の前の小学生達(U-12)が、あと半年ちょっとすれば、この倍の大きさのグランドで11人でサッカーをすることを考えれば、そのギャップの大きさを感じてしまいます。8人制のメリットは理解しつつも、U-11やU-10までで採用した方が良いのでは、などと思ってしまいました。
でもまあ、そんな諸々の事は置いといて、この日真剣にボールを追う小学生のこの子達は、確かに輝いていました。負ければ終わりのトーナメント戦ですから、敗戦に思わず涙を見せる子の姿を見ていると、何年か前の我が子を思い出したりして。そしてこの子達が皆、中学生になっても高校生になっても、こうした輝きを失ってほしくは無いなあ、とも思いました。何と言ってもそれこそが、私の貴重な被写体なのですから。